何を隠そう、私、溺愛モノが大好きでして。
特に男性側がハイスペックで、女性が素朴な感じのカップルが大好きでして。
そんな私の好みドンピシャリな作品がこちらです。
『「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます』
ハイもうタイトルから好き。
キャッチコピーは「こじらせ次期公爵×前向き没落令嬢のむずキュンラブストーリー」。
ハイもう好き絶対好き。
ということで読んだんですが、とても良きでございました。
◆今回の見どころ(読みどころ)
✓上司命令でしぶしぶ結婚したハイスペッククールイケメンが、結婚相手の令嬢(ヒロイン)に本気で惚れていくところ
✓ライバルのマウントや悪意にまったく気づかず、ひたすら他人のことを気遣う天然前向きヒロイン
今作のヒーローは、結婚式の夜にヒロインに「きみを愛するつもりは一切ない」「契約結婚と思ってくれていい」とぶちかます、クールにもほどがあるお方なんですが、前向きで優しいヒロインに惹かれていく様子が良きでございます。
それでは早速感想詳細いってみよう!
「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます 1巻/漫画:水埜(みずの)なつ 原作:三沢ケイ
ざっくりあらすじ
没落貧乏貴族の令嬢、エルサがヒロイン。貧乏すぎて食べ物もろくに得られないが、優しくて朗らかな両親、賢い弟と4人で幸せに暮らしてきた。
そんなある日突然、公爵家長男で、国の第一王子の側近であり宰相補佐官を務める(要するに超エリート)ユリウス=ロイアスから求婚の申し込みを受ける。
まったく面識のないスーパーエリートからの求婚に両親はとまどい、弟は「なにか裏があるのでは」と疑うが、「建築物の補修」「弟の学費支援」などの好条件だったため、家族のためにエルサは求婚を受け入れる。
結婚式当日、初めて会ったユリウスはエルサを優しくエスコートし、そんなユリウスを見てエルサも「うまくやっていける」と両親に話すが、その日の夜、二人きりになった途端に優しかったユリウスが別人のように冷たくなり、エルサは「きみを愛するつもりは一切ない」と告げられる。
エルサはそれをたんたんと受け入れ、「せっかく家族になったのだから」と、そっけないユリウスにもあたたかく優しく接する。
そんなエルサに、ユリウスもだんだん惹かれはじめて…。
感想※ネタバレあり
ヒロインのエルサが健気でかわいい!
このヒロインはね、「自分よりも他人が優先」のタイプでね。一度も会ったことのないユリウスとの結婚を決めた理由が、家のためそして家族のため。
「お父様お母様ハンネス(弟)が幸せに暮らしてくれれば、どんな方が来たってわたくしはきっと耐えられます」
ってモノローグ(心の声)があったからね。
そもそも、「直接会ったことが1回しかないのに(しかも数年前)たびたび求婚してくる豪商のおっさん」との縁談を受けようとしてたの。理由も同じ、両親のためと弟のため。
「自分はどうなってもいいから、自分の大切な人が幸せでいてほしい」みたいな考えな人。『幸福な王子』か。
こんな子が変態に嫁いでたら大変悲しい胸糞ストーリーになってたと思うんですが、夫となる人がイケメンエリートでよかった…。
さて、あらすじにも書いたけど、エルサと、エルサに求婚してきたユリウスは一切面識なし。エルサは家柄はいいけど、財産はない貧乏令嬢。そんなエルサに、なぜユリウスは求婚したのか?って疑問がありますね。あるよね?
このへんは本編で謎でもなんでもなく、2話目にして理由描かれてるのでサクッとネタバレします。一言でいうと上司命令。
ユリウスの上司は王太子。王位継承権一位の王子だから、次の王様ってことね。権力やばい。
そんな上司に、「エルサ=ユカライネンと結婚してくれる?」ってかるーい感じで頼まれて、それを引き受けたって流れ。
エルサの実家のユカライネン家は、元々はユカライネン国の王家だったんだって。だからエルサは元王族。
ユカライネン王家が隣のラルト国(現在エルサたちがいる国)に攻め込んだんだけど、ラルト国の返り討ちにあってユカライネン王国は滅亡。
ユカライネン王家の土地財産は没収されて、王女をラルト国王へ側室として献上。その王女が産んだ子が初代ユカライネン公爵。
わかる?エルサの血筋のすごさ。今は亡きユカライネン王家の血と、ラルト王家とどっちの血もついでんの。
血筋はすげえ。貧乏だけど。
で、王太子曰く、「エルサを国内の反逆分子に利用される前に、こちら側にとりこんでおきたい」ってことで、優秀な部下であり、独身で恋人も好きな人もいないというユリウスに白羽の矢が立ったってことみたい。
「部下に結婚命じるんじゃなくて自分がエルサと結婚せぇよ」と思うかもしれないけど、それについては「妻(妃)以外愛せないから無理」らしいです。それは仕方ないね。
そんな愛のないきっかけで始まる二人の結婚ですが、結婚してからエルサに惹かれていくユリウスがね、いいよね。
ユリウスがエルサに惚れるきっかけが、エルサがユリウスの誕生日をサプライズでお祝いしたことなんだけど。
正直、え、ユリウス落とすのチョロすぎん!?とは思った。
ユリウス、女性から情報を引き出す諜報活動をしてて、両親の不仲から恋愛不信で、まともな恋愛をしたことがないクールなハイスペイケメンって設定で、さぞ難攻不落かと思いきや結構あっさり落ちたな。
エルサとユリウス、二人だけのサプライズ誕生会。エルサが縫ったという手作りのブラウスとカフスボタンがプレゼント。
「24歳のお誕生日おめでとうございます」って微笑むエルサに落ちたと思うんだけど、結構チョロくね?え、そんなんでいいの?とは思った。
ユリウスがクールで恋愛不信になった理由が両親の不仲からって描写があるけど、ユリウス、ほんとは「あたたかい家族」に憧れてたんだろうな。「他人」と「身内」の線引きがすごそうだもんねこの人。「他人」には冷たいけど、「身内」の範囲にいる人間はめっちゃ守りそう。
きっとこのサプライズ誕生会で、エルサはユリウスの心の扉をあけたんだろうな。そしてユリウスの「身内」の範囲に入ったんだろう。
それにしてもな~、ユリウスがエルサに惚れるのがチョロすぎ(3回目)。
これがさ、「親に捨てられて周りの大人からもひどい扱いして受けてこなかった小さい子ども」だったら、自分の誕生日に自分にだけプレゼントをくれてあたたかい誕生会を開いてくれたエルサにちょっと心を開くのもわかるけど、イケメンで家柄もよくてエリートで女性にモテモテのユリウスが、誕生会を開いてもらっただけでこうもコロっと落ちるかね?
どんだけひどい女しかいなかったんだよユリウスの周り。女運なさすぎ気の毒すぎ。
ユリウスに関して、私の不満がひとつありまして。
それが髪型。なんというか、前髪?なのか、髪の右側が長いアシンメトリー(左右非対称)な髪型で、ノンスタイルの井上を彷彿とさせるんだよね。
私は決してアシンメトリーな髪型が嫌いなわけじゃないですよ。ターミネーター2の時のエドワード・ファーロング(ジョン・コナー役)の髪型は好きだし。イケメンヘア。
ただ、ユリウスのアシンメトリーな髪型はユリウスのキャラクターにも合ってない気がして嫌。クールで頭がよくて顔がよくて、王太子の側近というエリートっていうキャラクターが、なんでアシンメトリーな髪型なんだろう。公爵っていう地位もあってお堅い職業のキャラだから、キチっとした髪型の方が説得力あるというか。
これが、公爵だしエリートでお堅い職だけど本人の性格がマジでチャラ男で~すっていうキャラだったらこの髪型でもなんの疑問もなかったけどね。
ユリウスってキャラ的に長めの金髪っていうのは同意するけど、アシンメトリーじゃない方がよかったな。
ユリウスについてばかり書いてしまったけど、ヒロインのエルサについての注目点もあります。
エルサ、容姿とのんびりとした性格からあんまり気にされてないけど、結構巨乳。
なんというギャップ。これがもし現代を舞台にした作品だったなら、水着姿のヒロインの意外なナイスバディにヒーローが赤面するシーンが描かれていたに違いありません。そして自分が着ていたパーカーを「日焼けするから」とか言って無理やり着せるんです。他の男に彼女の体を見せないために。きっとそう。
エルサのいいところは、人の悪意にまったく気づかないところ。わかりやすくユリウス狙いの美人な恋敵が出てくるんですけど、その女のマウントやら嫌味にほんとにまったくこれっぽっちも気づかない。
まぁ「ユリウス様は誰にでも優しいのよ、あなたなんか家柄だけで結婚相手に選ばれたんだから」というようなことをオブラートに包まれて言われても、ユリウス本人から「君を愛することはない」ってはっきり宣言されてるから「しってるが?」としかならんけどね。
本作1巻のおすすめシーンは、4話でのユリウスの嫉妬シーン。
お祭りの日に、エルサが他の男と城下町へ行ったという話をきいて、慌てて町へダッシュ。エルサといた男ってのがエルサの弟。勘違い嫉妬。
ヒーローがヒロインに嫉妬するシーンは王道だけどいいよね…。
ヒーローがヒロインに惚れるのが簡単すぎない!?とは思うけど、そこはまあテンポがはやいってことで。
『「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます』はブックライブで配信中です。2023年7月23日現在、ブックライブでしか配信されてないし、原作小説もないからほんとにここでしか読めない。あとは紙媒体で。
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