最後のページで「え!?」ってなる。「え!?」って声でた。
ハコヅメ~交番女子の逆襲~111話/泰 三子(やす みこ)/モーニング2020年17号掲載
ざっくりストーリー
同期の結婚式2次会に集まった川合。そこで新郎と同じ署で働いているという気のいいおっちゃんと知り合う。
おっちゃんは、27年前に起きた悲しい災害の話をする―――。
感想 ※ネタバレ注意
いや、これはね、ツラい話だった。
最初の数ページはいつもの『ハコヅメ』だったのよ。ギャグ強めの。あ~いつものハコヅメだ~と思って油断して読んだだけに、話が重くて「おおぅ…」ってなったわ。
ある警察官が殉職する話なんですけどね。
川合が出席した結婚式2次会で、新郎と同じ署で働いているっていう、猿顔の気の良いおっちゃんと知り合うのね。で、そのおっちゃんが27年前に起きた”岡島災害”の話をするの。
おっちゃんはその災害で被害が大きかった署に、初任地で刑事としていたんだって。
おっちゃん含めた同期3人組が仲が良くて、おっちゃんと、顔が良くて頭も良い「閣下」ってあだ名のイケメンと、優しくて力持ちだけど口下手な「マコ」って呼ばれるお巡りさんの3人ね。
おっちゃんと閣下は刑事で、マコは駐在所勤務。「マコ」ってあだ名は名前が「マコト」だから。
マコは閣下の妹(美人)と結婚してて、もうすぐ子どもが産まれる予定。
そんな幸せいっぱいのマコが、岡島災害で命を落としてしまうの。
理由が、土砂崩れの危険がある地域に住んでいるおばあさんが避難を拒んだもんで、その説得にマコが行って、そして山が崩れておばあさんとマコが…っていう。
ツラいのは、マコの奥さんが大きいお腹抱えて遺体と対面するシーン。対面っていっても、遺体にかけてあるシートをとることはなかったけど。奥さんは「見てもいい?」って言ったんだけど、閣下が「ダメだ」って止めたの。「少しでも多く2人のご遺体の一部を捜すので精一杯だった」って。
奥さんはさ、「避難を拒んだおばあさんの救助に、夫は行かないといけなかったの?」って言うの。「警察官の誇りなんてくだらないモンのせいでマコはこのクソババアと死ななきゃいけなかったんだね」って。
いやそうなるよね。このおばあさんはさ、「自分が住み慣れたこの家を離れるくらいなら死んだ方がマシ」って避難を拒んだんだって。
そしてこの結果ですよ。御年80歳、夫を亡くして一人暮らしのおばあさんだけでなく、身重の奥さんがいて子の誕生を楽しみにしていた若き警官も道連れに。
ただの読者である私ですら「こんのクソババア…ッ」て思ったもん。「あんたがさっさと避難していればマコさんは死なずにすんだのに…!」って。
奥さんの悲痛な叫びがね…ツラい。
「腰抜けでもなんでもいいから生きて帰って来て欲しかった!」
って泣きながら叫ぶの…
そうですよね…”警察官として”正しいことをしての無言の帰宅より、家族にとっては「腰抜け」と罵られようと「ただいま」って生きて帰って来てほしいよね。
まぁ、おっちゃんの話はこれで終わるんですが、川合達が勤める町山署に、翌日新しい署長が赴任してきて、それがまさかのおっちゃんだったんですよ。
猿顔の猿渡(さるわたり)署長。覚えやすい。
そして今回の話で一番ビックリだったのは、猿渡署長が源に「マコ2(ツー)、閣下は元気か?」って話しかけるの。それに対して、源が「親父なら駐在所でのびのびしてます」って答えるわけ。
え!?ってなったよね。
マコさんが殉職した時、マコさんの奥さんは妊娠してて、奥さんの兄である閣下に「私1人でどうやってこの子を育てればいいの!?」って詰め寄ってたんだけど、閣下は「亜衣(閣下の妹。マコの奥さん)が望むならその子をうちで育ててもいい」って答えてたの。
猿渡署長の話で、亜衣さんは無時出産して、再婚して県外にいるって言ってたから、マコさんの子どもは閣下夫婦が引き取って育てたのか…そしてその子が源部長だったのか…
閣下の奥さんは子宮全摘したって話だったから、閣下の実の子ではないだろうし(閣下が離婚したのでなければ)。
なにより、源の名前が「誠二」で「マコ2」って呼ばれてるから、きっともうそういうことだよね…
亜衣さん、マコさんとの子は兄夫婦に託したのか…なんでだろ…どういういきさつでそうなったんだろう。いや、マコさんの忘れ形見をなんで手放したのかなって。警察官が殉職した場合、遺族へ数千万円支給されるそう(参考1)だから、金銭的に余裕ないってことはなさそうだし、兄夫婦も協力するって言ってるから、「1人で育児」にもならなそうだし。
マコ2を手放した理由が気になる…
今回紹介したハコヅメ111話は、13巻に収録されています。
【amazon】ハコヅメ~交番女子の逆襲~(13)
源の実父・マコや育ての親・閣下の話が掘り下げられてます!121話ネタバレ感想はこちら↓
【参考サイト】
1.キャリアガーデン-警察官で殉職はある?
コメント
とおりすがりですが。お子さんがいると旦那さんが死んだことをずっと背負わなくてはいけないからではないかと思います。
お子さんが旦那さんに似てたりするとなおさらですし、「なんでお父さんいないの?」と、お子さんやお子さんの友達、回りのお母さんに聞かれることもあるし、父親がいたらよかったって思うこともあり、そのたびに災害のこととクソババアへの怒りを思い出すのはとても辛いかと。
忘れられるわけではないけど、トリガーが毎秒そこらにあるのと、悲しむべきときが限られているのとでは、亜衣さんの心にとっては後者がいいんだおもいます。
>なしみさん
あーなるほど。「トリガーが毎秒そこらにある」のは確かにキツイですね。子にとっても「自分の存在がお母さんを苦しませる」って思いながら育つのは苦しいだろうし。
子を手放すといっても、赤の他人じゃなくて兄夫婦だと安心だったでしょうしね。
「亜衣さんの心にとっては後者がいい」って表現が優しくて、納得しました。
ただ、子が「お母さんに捨てられた」って思いを抱えないかと気になったんですが、当の源は「母親に捨てられた」よりも「親父(=閣下)の足枷になった」って気持ちが強いみたいですね。
ほんと、マコさんに生きて帰ってきてほしかったです…