理想のオトコ/チカ
あらすじと感想 ※ネタバレ注意
この作品がどんな話なのかを説明しますと、まずヒロインは2人。32歳独身の美容師・小松燈子(愛称トーコ)と、トーコの親友で32歳既婚の編集者・安積茉莉沙。
茉莉沙が担当する漫画家ミツヤスが漫画賞を受賞し、その授賞式に出席するミツヤスのスタイリングをトーコが担当。授賞式で、トーコは高校時代の同級生だった圭吾と再会。さらに、茉莉沙から若手のホープだという人気のデザイナー・高野を紹介される。
この時点で登場した男性は3人。人気漫画家ミツヤスがヒロインより10歳上。トーコの同級生圭吾が同じ年。デザイナーの高野が10歳年下。
10歳上、同じ年、10歳下の3人の男性からトーコがアタックされて、トーコは誰を選ぶのか?という話かと思っていたら、トーコが揺れるのは10歳上のミツヤスと同級生の圭吾。10歳下の高野は、トーコではなく茉莉沙にアタック中。茉莉沙は既婚者なので、旦那と高野の間で揺れる、という展開。
結局トーコは圭吾からの告白を断ってミツヤスとくっつくのですが、このミツヤスがね~、全然好きになれなくて、全っ然トーコの恋を応援できなかったよ…。
私がミツヤスを好きになれないのは、うじうじうっとおしいことと、肝心なことをちゃんと言葉で伝えないところ。
常にネガティブホロウ(※)くらってんのか、ってくらいうじうじうじうじ。その割に突拍子もないことをやったり言ったりして、そしてその説明は十分にされないから、周りは困惑するしかないという。
※ネガティブホロウとは…少年漫画『ONEPIECE』に登場するキャラ、ペローナの、どんなポジティブ思考の人間でもネガティブにする技。
トーコと2回目のエッチして、第三者に「付き合ってるんですよね?」と聞かれ、トーコもいる目の前で「いいえお付き合いはしていません」ってだけ答えるあたりなんなの?
確かにその時「付き合ってください」「はいよろしくお願いします」のやりとりはなかったから実際お付き合いはしてなかったかもしれないけど、「付き合ってないです」の後に「でも僕はトーコさんが好きです」くらいフォローしなさいよ…
しかしその後、ミツヤスは一応ちゃんとトーコに告白します。トーコと圭吾が一緒にいるところにミツヤスが来て、「好きです」「お付き合いしていただけませんか」って。んで圭吾が「俺も燈子に付き合わないかって告白してるんです」「もちろん結婚も考えてます」って宣言したら、「すみません、今の話はなかったことに」ってミツヤス帰っちゃうんだよね。
トーコも圭吾もボーゼンよ。
告白されて数秒後にフラれるトーコ。フラれ記録最短だろ。
ミツヤスが突然告白を取り消したのは、自分自身を結婚に向いていない人間だと思っていて、圭吾が結婚の話を出したことによって「自分はトーコさんと付き合ってはいけない」と思ったみたいなんだよね。
それもさ、ちゃんと話せーよミツヤス!告白されて直後に「なかったことに」って取り消しされたら、された方はわけわからんってなるでしょ。
「トーコさんが好きだからお付き合いしてほしい」「でも自分は結婚には向いていない人間である」「結婚に向いていないと思う理由」を最低限伝えれば、そもそもトーコは結婚をしたいと思っているのかとか、ミツヤスが思っている”結婚に向いていない理由”は、トーコにとってはなんでもない理由かもしれないし、とにかくお付き合いに関してミツヤス側の事情をトーコが理解できるでしょう。
意味不明な挙動不審さで周囲を振り回す人、というのがミツヤスの印象。シンプルに苦手。
ヒロインの相手役のミツヤスを好きになれなかったため、イマイチ感情移入できなかったです。
これ、ヒロインを取り巻く男性の組み合わせが違えばおもしろかったかも(私が)。
トーコの周りの男性が、正樹と圭吾。茉莉沙の周りの男性が、ミツヤスと高野。ミツヤスと、茉莉沙の夫として登場した正樹の立場が入れ替わっていたら、という妄想。
トーコと出会ったのが、ミツヤスじゃなくて会社員の正樹。正樹、茉莉沙と同じ年ってなってたから、32歳なんだけど、役職「部長」なんですよ。すごくない?上場企業を中心に行った調査によりますと、各社が制度上想定する昇進年齢の標準は、係長32.7歳、課長39.4歳、部長47歳。最短でも係長29.5歳、課長33.9歳、部長40.1歳(財団法人 労務行政研究所『役職別昇進年齢の実態と昇進スピード変化の動向 』より)。
標準でいうと係長くらいの年齢なのに、すでに部長職についていることからみて、正樹相当仕事ができるやつに違いない。出世のスピードがハンパない。
そんな超仕事できるクールな正樹と、安心感がある圭吾から同時期にアプローチされ、揺れ動くトーコ。
茉莉沙の方は、旦那が漫画家のミツヤス。茉莉沙は編集者として外でバリバリ働いていて、ミツヤスは家で漫画描いてる。行き詰った時や、若干時間に余裕がある時はご飯作って茉莉沙の帰りを待っててくれる。
茉莉沙が高野に粉かけられて、高野の存在を知ったミツヤスがヤンデレ化してくる、とかね。
妄想ですけど。
あと、トーコの過去の恋愛のトラウマ?みたいになってるエピソード、あれいる?
ミツヤスが尊敬している先輩と、トーコが交際していた人が同一人物だったんですが、まぁ恋人が亡くなったことはショックだけど、トーコの場合別れた後に亡くなってるし、そんないうほどトラウマか??
私がそう思わないからといって、トーコの感覚が変だとか言うつもりはないけども、話の流れとして、隣人の杉原さんを先輩の弟として登場させて絡める必要あった?と疑問には思う。あのエピソード、別になくても支障なくない?
隣人・杉原さん、結構ガッツリ登場した割りに後半全然出てこないし、杉原必要だった?ってなった。
杉原さんと、トーコが交際していた元恋人の話なければ、5巻くらいですっきり終わったのでは?もしくは、茉莉沙の離婚のくだりをもっと詳細に描けたのでは?トーコの謎のトラウマの元恋人の話より、茉莉沙と正樹の離婚と、離婚後、正樹とミスディオールの関係がどうなったかを読みたかった。
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