甘くない彼らの日常は。1話/野切 燿子(のぎり ようこ)/講談社/デザート2019年3月号
あらすじ
高校生活初日のピンチを一条くんに救われた緑。お礼を言うチャンスをうかがっていたけれど、彼とその友達の3人がなかなか学校に来ない…。噂では3人で問題を起こして停学になったみたいだけど…!?
そんなとき、緑は学校で禁止されているバイトをしているところを理事長に見つかってしまう!! 停学と特待の取り消しになるところだったけれど、理事長は見逃す交換条件に「彼らを学校に連れ戻してほしい」と提案してきて…?デザート公式サイト より引用
登場人物
七海 緑(ななみ みどり)
本作主人公。
父親が借金を残して蒸発し、母親を助けるために特待生(学費免除)として高校に入学。高校生活初日に財布を落としたことがきっかけで、一条 礼(+他2人)と知り合う。
母・弟と3人暮らし。料理は壊滅的(弟談)。いつもボーっとしている(友人談)。
一条 礼(いちじょう れい)
一条財閥御曹司。黒髪。問題児3人組の1人。本作のヒーロー(たぶん)。
クールで、感情をあまり表に出さないタイプ。緑が落とした財布をネコババしようとした2人組から、財布を取り返してくれた「財布の恩人」。
親のお金でマンションで一人暮らしをしていて、そのマンションの部屋に千尋と雪之丞が入り浸っている。
五嶋 千尋(ごしま ちひろ)
五嶋組跡取り。ヤクザの息子。問題児3人組の1人。つり目。
感情の導火線が短く、喧嘩っ早い。
家入 雪之丞(いえいり ゆきのじょう)
医者の息子。問題児3人組の1人。たれ目で、右目下に泣き黒子がある。3人の中で一番背が高い。
常にうっすら笑顔。
礼と千尋からは「雪」と呼ばれる。
七海 紺(ななみ こん)
緑の弟。中学1年生。しっかり者の常識人。家の炊事全般担当。いい子。
鈴木 啓一
緑たちが通う高校の理事長。この春から就任。
禁止されているアルバイトをしていたことから、停学&特待生取り消しになるところだった緑に、「学校に来ない問題児3人組を連れ戻してきてくれたら不問に処す」と、交換条件を持ちかける。
コタロウ
礼の飼っている犬。コーギー。3才オス。ひたすらかわいい。
感想 ※ネタバレ注意
緑、カッコいい
一番の見所は、緑が礼に啖呵を切るとこ。
理事長に「3人を連れ戻してくれ」と頼まれて、礼のマンションに説得しに行くんですよ。緑1人で。そこに千尋(ヤクザの息子)と雪之丞(医者の息子)もいたわけなんですけど。
「あんたの事情は俺達には全く関係ない」「手間賃やるから二度と来ないでくれる?」
って言われて、礼に7万円渡されるわけ。
しかも手渡しじゃなくて、目の前でお金落とされて「拾えば」的な感じ。
こんなことされたらフツーめちゃんこムカつくし、屈辱じゃん?
特に緑は家計を助けるために中学生の時からバイトしてて、「お金には常に困ってる」状態ではあるけども、いくらなんでも「こんなお金受け取るわけねーだろ」と思いながら読んでたのよ。
そしたら、お金の突き返し方が予想以上でした。
「こんなのいらない!バカにしないで!」みたいに断るのかなと思ったら、
床に落ちた諭吉さん達を拾って、「これ自分で稼いだお金?」って礼に聞くの。
「親からの生活費の一部だよ」って雪之丞が答えたら、ニッコリ笑顔で「7万円ってどれくらいの労働か知ってる?」ってさらに質問。
高校生が7万円を稼ぐための時給、必要な労働時間、キツさを説明したうえで、
「なにもかも親の金のくせに えらそうにばらまいてんじゃねーよ」
とお金を突き返して退散。
カッッッッコいい…!
いやもうほんとそれ。親の金のくせにね。おめぇが偉そうにすんなってね、なるよね。
100歩譲って自分で稼いだお金だったら…いやないな。自分で稼いだお金だったとしても、お金を床に撒いて「拾えばいい」はないわ。ただのクソヤローだわ。
このシーン、”イケメン3人と対面する主人公の図”だったけど、主人公が一番イケメンでした。
教師がクソ
イケメン問題児3人組が停学になった理由を、千尋(ヤクザ息子)が緑に話すシーンがあるのね。
「礼と雪は俺に付き合ってくれてんだよね」っつって。
回想シーンになって、事の真相はこう↓
3人が校内を歩いてたら、後ろから教師が突然「校舎裏でタバコの吸い殻が見つかった」って言ってくるの。「は?それがどーした」って返したら、
「教師に向かってなんだその口のきき方は!」
ってまず怒鳴られんの。理不尽!
突然タバコの吸い殻の話しされてもね、きょとーんだよね。
「だから何だ」としか言えないし、どんなに丁寧にしても「はぁ、そーですか」としか言えんよね。
で、その教師は千尋に対して「どうせお前がやったんだろう!」って決めつけてくるわけ。
「あんだとコラ」って応戦しようとした千尋だけど、礼と雪之丞に止められて、教師を無視して歩き出したら「話はまだ終わってない」って肩つかまれて、振り払ったら肘が教師の顔に当たってしまって、肘鉄くらわした形になっちゃったっていうね。
千尋が校長室に呼び出されて後に、クソ教師が礼と雪之丞に
「友人は選びなさいよ」「そんな人間(千尋のこと)とつるんでいると家名を傷つける」
とかいらんこと言って、礼と雪之丞が静かにブチ切れて、3人揃って学校行かなくなったって話。
はい、これは教師がクソ。
私一番嫌いなタイプ。他人の話を聞かずに自分の考えだけ押しつけてくる人。決めつけてくる人。
こういう人いるよね。話聞く気ないなら話しかけてくんなって思うわ。
ここで疑問だったのは、主人公達が高校入学してからすぐこの事件が起きてるんですが、なんでこの教師、千尋がやったって決めつけてるの?
なんで入学して数日の生徒に「お前がやったんだろ」って決めつけられるの?
この学校、実は中高一貫校なの??3人組は中学からの持ちあがり組で、中学の時から知ってる生徒ってこと、なの??
これが、千尋が「ヤクザの息子だから(悪いことはこいつの仕業に違いない)」っていう思考だったとしたら、しょーもな。
こんな人、政治家の息子とかには必要以上に良い評価あげてそう。
教員免許捨ててほしい。
緑がタバコの件の真犯人を見つけた後、こちらのクソ教師、校長共々「然るべき措置をとらせてもらった」(理事長談)らしいので、ちょっとスカっとしました。
この話をしているとき、千尋が「家がグレーなことやってるから心証悪いし」とこぼすんですが、ヤクザって、グレーじゃなくて真っ黒じゃね?って思ったよね。
あと、教師への反発として3人がとった行動が”登校拒否”というのが、「あーそっか、こないだまで中学生だったもんね」って感想。
教師にやり返すくらいしてほしい。Gacktみたいに。
Gacktの学生時代の嫌いな教師へのイタズラの話、知ってる?
昔、なんかの音楽番組で話してたんですけど、友人集めて嫌いな教師の車を壁に立てかけたっていうイタズラ。
すごくない?
タイヤをパンクさせるとか、車を傷つけるとかはありそうだけど、車を壁に立てかけるって初めて聞いたわ。車って立てかけられるんだーって初めて知ったし。
誰も何も傷つけないイタズラ、すごいなって。
でもこんなやり返しやっちゃったらね。ギャグマンガになっちゃうしね。却下だね。
3人共、お金持ってるんだからタバコの吸い殻もらって、唾液からDNA鑑定して「ほら見ろ俺じゃねーだろ!」ってやっていいと思う。
けど、3人の様子だと、「あきらめてる」感じだったね。
私もそうなんですけど、あまりにも話を聞いてもらえなくて、こっちが何言っても否定されて「こうなんでしょ」って決めつけられることがありすぎたら、「あぁじゃもうそれでいいんじゃない?(ほんとは違うけど)」っていう諦めの気持ちになるんですよ。
特に千尋は、ヤクザの息子ってことで周りから距離置かれることも多かっただろうし、「どうせ誰もわかってくれない」って気持ちでここまできて、何言われても抵抗しないで諦めてるって習性が身についてたら、悲しいね。
これから
主人公・緑の相手役は、礼でしょうな。
緑と礼がくっつく前に、千尋が緑に惚れて告白とかしそう。
あと、礼の家族との確執とか、元カノ、もしくは婚約者が出てきてドタバタしそう。
礼、千尋、雪之丞が仲良くなったきっかけの話も番外編としてありそう。
ここまで長々と感想を書き連ねましたが、今回のお話は、デザート公式サイトでまるまる1話試し読みできますよ!→デザート公式サイト
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