「新連載か、ふ~ん」くらいの軽い気持ちで読んだらめっちゃおもしろかった
サイソウフレンズ第1夜/江唯 みじ子(えゆい みじこ)/ハツキス19号掲載
ざっくりストーリー
入社して5年目、面倒を見ていた新人にパワハラで訴えられ、会社を退職した主人公・武藤 薊(たけふじ あざみ)。会社を辞めて時間もできたということで、高校3年の時のクラス会に参加する。
8年ぶりに戻った地元、久しぶりに顔を出したクラス会で、高校時代クラスの人気者だった薊は皆に歓迎される。
が、会が進むにつれ、薊はクラス全員から本当は嫌われていたということを知る。
感想 ※ネタバレ注意
意外性がすごい。
主人公がパワハラで訴えられて会社を辞めるところから物語が始まって、久しぶりにクラス会に参加して高校時代仲良くしてた男子がかっこ良くなってて、「あんた私に惚れてたの?」「そうって言ったらどうする?」なんて会話を交わしてるもんだから、再会ラブストーリー開幕かなと思ってて読んでたのよ。基本、少女漫画脳なもんで。
ところがどっこい。ところがどっこいですよ。
皆で卒業アルバムを見るところらへんから空気が変わってきまして。
「黒井 雪(くろい ゆき)」という女生徒の写真を見て「黒井さんって覚えてる?」って話になって、回想かな?黒井さんらしき女生徒が体育館で制服脱がされて、それを複数の男子生徒が写メっているという胸糞な場面になるの。
学校の体育館って、2階?っていうのかわからないけど、観客席みたいなとこあるじゃん?バスケリングの上らへん。そこに女子生徒もいっぱいいて、泣いている黒井さんを見下ろしてるの。もちろん主人公もそこにいて、光のない冷たい眼で黒井さんを見てるの。
で、黒井さんはすでに亡くなっているらしい。「私たちがやり過ぎたせいだよね…」とか皆で話してる。
もうこの辺から「あ、恋愛漫画じゃなくてイジメがテーマの作品なのか」と思って読み進めると、主人公の無神経さにビビる。
婚約者に逃げられてヤケ酒してる友人に注目が集まると、その人に対して主人公がまぁいらんことをやんやん言うわけよ。
「あんたを慰めるための会じゃない」「私は思わないけど、こう思っちゃう人がいるかもよ?」って。
思わないんだったら黙っとけよ。
黙って飲んどけ。もしくは帰れ。
そしてとどめに「昔からしょっちゅう男変わってたしすぐ次の男できるでしょ」って笑いながら言っちゃって、失恋した人に酒ぶっかけられるっていう。
そこから。
そこから、主人公への皆の批判が集まるの。
「自分のことサバサバ女子って勘違いしてそうだけど無神経に人を傷つけているだけ」「今日来ないでほしかった」「自分中心じゃないと不機嫌になるのだるい」
エトセトラエトセトラ。
そして、陰では「世紀の嫌われ者」って呼ばれてたことを知ってショックを受ける主人公。
と、いうか、こんなに嫌っている人をなんでクラス会に呼ぶんだろ。主人公にもクラス会のお知らせのハガキが届いたから主人公はクラス会に参加したわけで。こんなに皆が嫌っている主人公なら、呼ばないでいいんじゃない?
地元も数年離れてるみたいだから、そうそう顔合わすこともないだろうし。
何らかの事情で嫌われ主人公にもクラス会のお知らせを出さないといけなかったとして、主人公が現れたときも、異様に主人公をヨイショしてたのはなんなんだ?
高校の時は、この主人公に従わないと自分がハブられる可能性があるからヨイショしとくのはわかるとしても、社会人になってまで嫌われ者に媚びる理由ってなんだ?
しかももう地元にもいない人だよ。
主人公の実家が地元の名士で、主人公や主人公の家の人の機嫌を損ねると地元にいられなくなるとか?それぐらいじゃないと、大の大人がこんなに媚びる意味がわからん。
作者の漫画の描き方うまいな~と思ったところが、「あんたはここにいる全員から嫌われてるんだよ!!」って言われた時の主人公の首が、コマ割りで切れているところ。別に1コマでも支障ない場面なんだけど、コマ割りで首を切られたみたいになってる。まさに言葉の刃。
作者の江唯さん、漫画描くのとっても上手だなと思いました。
表現がおもしろい。
1話の最後のページに描かれているのは、後ろにクラスメイトがいる主人公と対峙している黒井さん。
そして「世紀の嫌われ者(=自分自身)と戦うことになる」という文字。
え、どゆこと???って思わせる状態で1話終了。
主人公と黒井さんが戦うんじゃなくて?主人公と主人公の戦い??
って疑問符だらけになったので、のこのこと2話も読みましたよね!作者さんうまいね!!
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